豹変上司に初恋中。
「悪いな、仕事中に」
私たちの間に一瞬散った火花に気付かず、彼は佳代さんにお礼を言った。
すぐさま、佳代さんは暖かな笑みを浮かべる。
「ふふ、気になさらないで。ところで、こちらは……」
「ああ、呉羽か。少し手を貸してもらったんだ。出来たら、呉羽も送って行ってほしいんだが」
ええ!?
「へ、編集長、それは、本当に!! 結構ですので!!」
ブンブンと首を振るけど、編集長も引かずに佳代さんに頼む。
「……分かりました。昴さん、とりあえず中で寝ててくださいな。体に響きますわ」
と、佳代さんは微笑んで編集長を車の中に押し込んだ。
その後、私の方を見遣る。
その表情の変化に、私は小さく肩を揺らした。
「……随分と密接していたこと。そういえば、会社の人だったわね、貴女。前に私が言った言葉、覚えていらっしゃる?」
あの、無駄に丁寧な話し方がより一層怖いんですけど……。