豹変上司に初恋中。

驚いたような響きを含む声で呟いたあと、さも楽しそうに口元を歪めた。


「は、凄いな呉羽」

「え?」

「いや、別に」


ゆっくりと息を吐いて、編集長はまた目を閉じる。


「へ、編集長、寝る前に薬を…!」

「……」

呼ぶも、応答なし。

「ちょ、ちょっと待って……まだ寝ちゃダメですよ、昴さん!」

慌てて彼の耳元に近付くと、私の首の後ろに手が回されて。


「え!?」

叫ぶと同時に私は引き寄せられる。

「……ちょっと響く。黙ってろ」

「んん!?」

編集長に抱きしめられ、顔を押し付けられる形で黙らせられる。

近いし、態勢的にもこれはアウトだ。

真っ赤になりながら、ブンブン首を縦に振って「黙ります」の意思表示。


するとすぐに解放された。

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