びたーちょこれーと。
夏が近い季節の水道水は生温く感じて、心地悪い。
まるで、今の俺だ。
「……」
びしょびしょになった自分の顔を鏡で見た。
いつもより不機嫌な顔をして、有り得ないくらい不細工に見えた。
俺の目は師走のようにキラキラすることを忘れて、死んだ魚と同じ瞳をしていた。
「……俺、どうしたいんだろう」
鏡の後ろに師走が映って、慌てて顔を水滴を拭った。
「お、卯月じゃねぇか!後で打ち合いしようぜ」
師走は歯を見せて笑いながら言った。
「…あぁ」
俺は、師走を見ると、心が闇に包まれる。