華麗なる偽装結婚



「………駄目よ…。
私、割り切れないわ。

………終われなくなってしまいます」


息も絶え絶えに俺のキスを受け入れながら彼女が言う。

「……本当に?
終われなくなる………?」


そうであってほしい。
彼女が俺から離れられないようになるのなら、どんな事をしてでもその全てを奪ってみせる。


「………阿美子……、
………もっと、…俺を欲しがって」


「ん……、はあ……」


――俺達は嘘を覆い隠すかのように、そのまましばらくお互いの唇からその沸き出る思いを伝え合っていた。






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