ガルドラ龍神伝―闇龍編―
そう言って金龍神は、まばゆい光と共に、爪のような形をしたナックルを、スーザンに渡した。


スーザンは早速、それを手にはめる。


彼女の手首に巻きつけられた水色のゴムが、かなり窮屈そうに見える。


『今はかなり窮屈そうだけど、じきに慣れてくるさ』


そう言うと金龍神レグルスは、水晶玉からスーザンに語りかけるのを止めた。


「これで、金龍戦士は、全員揃ったね」


ナンシーは、ほっとしたように言った。


「そうだね。


でも、まだ安心するのは早いよ」


「そうだね。


僕達の真の敵はアルエス。


ここで、気を抜いてちゃいけない」


五人は気を引き締め、メルディーンの町に戻った。




金龍神レグルスの神殿での冒険を終え、リタ達は役目を一つ果たした。


(龍戦士達が全員揃ったから、後はヒア達と合流して、その足でフィブラスに帰るだけ)


リタは肩の荷が一つ降りたことで、安心感を持っている。


メルディーンの族長邸の前には、オルファニス族長と息子のディート、そして屋敷中の魔族全員が立っていた。


「伯父様、私は今日から……」


「わかっている。


今日から、短期間の旅に出ると言うのだろう?」


オルファニス族長は、姪の言葉を遮った。


「リタ姫、姪をよろしく頼んだよ」


オルファニス族長は、それ以外には何も言わなかった。


「話が纏まったところであれですが、そろそろ私達は、これで失礼します。


船の時間もあるので」


五人はオルファニス族長にお辞儀をして、島の南端にある停船場に向かって走っていく。
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