ガルドラ龍神伝―闇龍編―
十人が、領国に着いた時のことについてあれこれと話し合っていると、船長が間もなく港町ヌータスに到着することを告げた。


リタはその町に着いた時に備え、はじめての訪問者となる六人の龍戦士達に、今後のことを言った。


「ヌータスに着いたら、そこからレザンドニウムまでずっと歩きだけど、準備は良いかな?」


リタは九人に訪ねた。


それに対し、彼らは首を縦に振る。


船は港町ヌータスに着いた。


「ヌータスに到着しました。


お降りのお客様は、お忘れ物のないよう、ご注意下さい」


船長の声を合図に、リタ達は持ち物を確かめ、船を降りる。


十人の龍戦士達の目の前には、黒い雲に覆い尽くされた大きな城が見える。


その城を指差して、ニアロスがリタに訪ねる。


「なあ、あの黒い雲に覆われた城は何だ?」


「あれが、私達がこれから向かうレザンドニウムの城さ」


リタは簡単に答えた。


あまりにも簡単に答えたので、気になってニアロスが二つ目の質問をする。


「なんで、そんなに詳しいんだ?」


その質問にリタは戸惑ったが、代わりにナンシーが答えた。


「リタ、ヨゼフ、ヒア、そして私は、九年前に魔道族に奴隷として一族から引き離された頃があったの。


だけど、その時に戦った敵がわざと負けてくれた――というより、その敵を三人だけで倒して、ヒアよりも先に領国から抜け出したの」


「なるほど。


それで故郷に帰ろうと決めた時には、龍戦士捜しの旅が、既に始まってたってことだね?」


ニアロスの解釈の仕方に対し、ナンシーは曖昧に頷く。


(実際にあの旅が始まったのは、はじめてフィブラスを訪ねてからのことだけどね)


もう少し上手に説明してあげれば良かったかしら、とナンシーは後々思った。


こうして話している間に、戦士達はいつの間にか、レザンドニウムへの道の真ん中まで来ていた。


話している時はあっという間に行けるものだな、とリタは感じていた。


城の近くまで来た時、彼女達の前に魔道族の魔族が二人、茂みの中から出てきた。


その魔族達は、正真正銘の子供だった。


彼らの今の行動はまるで、リタ達の行く手を阻んでいるかのようだ。


赤色の目や琥珀のような色をした目が、彼女達を睨みつけ、威嚇する。
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