ガルドラ龍神伝―闇龍編―
「多分ここまで来たから、あるはずだよ」


ヨゼフはペレデイス同様、大儀そうに言った。


一見すると、裂け目が広すぎて到底渡れそうにない砂丘に見えるけれど、目を凝らせば光がガラスのように砂に反射し、本当の道が現れている。


その現象はまるで、太陽の光が、リタ達の道標になっているかのように見える。


うっすらと見える道を渡り、十人は更に南へ五キロ進む。


その先に煙突のように空洞があり、壁が蔦に絡まれている建物がある。


それは外見からは、形が三角形になっているように見える。


大理石でできた壁で覆われ、灰色の扉には歪な形をした三つの穴と、古代文字が彫られている。


「古代文字か……。


僕が解読してあげるよ」


そう言ってヨゼフは、古代文字を解読する。


「わかったよ。どうやらここが、≪ダブの遺跡≫らしい。


扉には、『三種族の宝玉を嵌め込め』って、書いてある」


ヨゼフの解説を聞く限り、≪三種族の宝玉≫というのはおそらく私達が持っている宝石のことだろう、とリタは思った。


(ここが、ダブの遺跡……。


私達は、とうとうここまで来たのね。


この扉に三つの宝石を嵌め込めば、≪アウン・ファレル≫への道が開くのね)


そう思うと、ナンシーは胸が痛む。


底知れぬ恐怖を覚え、リタ、ヨゼフ、ナンシーは三色の宝石を、扉の穴に嵌め込んだ。


すると、十人の足元で地鳴りが聞こえ、大きな扉が開く。


扉が開くと、三色の宝石は役目を一つ果たしたかのように、三人の手元に戻った。


リタは唾を飲み込み、他九人を遺跡の中へと導く。


(首を洗って待ってろよ、闇龍アルエス)


その想いを胸に、リタは仲間達と共に遺跡の中に入っていった。
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