ガルドラ龍神伝―闇龍編―
第九話:氷龍公子
1


九年前に奴隷として闇の領国レザンドニウムに召集され、領主が放つ魔物と戦ってきた四人の戦士達が、葉龍族の故郷バデリウスの樹海で、再会を果たした。


それも束の間、葉龍族のヒアは葉龍女神ルナの力を受け継ぐ≪葉龍戦士≫として目覚めて間もなく、樹海の村に残ることを決意する。


が、その代わりに彼は戦士として、葉龍族や村を守るために力を使う、とリタ達に誓った。


こうして、一時的にヒアと別れ、三人はデラル島の南端に停まっている船に乗り、次の目的地に向かう。



―その頃のレザンドニウム領国―


領主のキアは、玉座の間で、ある魔道師を待っていた。


二分後、彼の一味の魔道師の一人が、玉座の間に入る。


彼はキアの前まで来ると、片膝をついた。


「この度は、このリバドブルムをお呼び頂き、ありがとうございます」


リバドブルムという名の男性が、畏まった口調でキアに挨拶をする。


やけに大量の脂汗をかきながら、キアは独り言のように言う。


「デュラック……。


あの忌々しい砂龍王子め。


水龍騎士アークレイ、火龍族の斧使いバイル、そして葉龍族の弓使いルナまでも目覚めさせおって……。


俺は少々、奴のことを見くびっていたようだ。


まさか、あれほど強いとは」


「あの……。


失礼ですが、砂龍王子デュラックとは、誰のことでしょうか?


伝説ではあの王子は、他の龍戦士達と共に闇龍封印を成功させた。


が、その代償に、彼らは息を引き取った。――と、語り継がれておりますが」
< 99 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop