双子ですけどなにか?【修正終わりました】
【彩花】落とし物


晴人と里美先輩を家に置いて出ていった私は、学校へ行く途中にある公園に向かった。

晴人がユキを飼う前、匿っていた公園だ。


「健先輩!」


名前を呼ぶと、先に到着していた健先輩が、にこりと笑った。


「どんな感じだった?」


事前に私の計画を知っていた健先輩が、すぐに聞く。


「困ってました。どうなるかなぁ」

「さてねぇ。二人ともシャイだからなぁ。さ、僕たちも行こうか」


健先輩はそう言って、自然に私の手をとった。

つきあうようになってから、こうして休日に会うのは、二回目。

この前は例の落書き事件で、すごく落ち込んでいた時。

夏に行ったプールの近くのカフェで、ひたすらまったりした。

美味しいケーキと紅茶、それに先輩の優しさに元気をもらって、私は翌日から、普通に学校へ行った。


机の落書きは、だいぶ綺麗になっていた。

ヒナが拭いてくれたらしい。

晴人のおかげか、健先輩のおかげか、激しい嫌がらせはなかった。

事態は何も良くなってないけど、ヒナや和樹くんや、晴人。それに健先輩が側に居てくれるだけでも、かなりの幸運だと思うようになっていた。


「今日は、コンタクトなんですね」

「うん。メガネより視界が広いからね」


今日は、以前に計画したように、二人で映画を見る約束をしていた。

バスに乗り、この前ヒナと行ったショッピングセンターに向かう。

かなり大型で、映画館とボーリングも併設してるから、休日はすごく人が多いだろう。

一人だと怖いけど、健先輩といれば、平気。

晴人と里美先輩が追いかけてきたら、ダブルデートだなぁなんて思っていたけど。

フードコートで昼食をとった後も、何の連絡もなかった。

何回もスマホを見る私を、健先輩が苦笑して茶化す。


「どんなに待ったって、今日はお兄ちゃん来ないんじゃない?」

「はいっ?お兄ちゃん?」

「晴人くん。いつの間に、そんなに仲良くなったの。前は双子だって事も隠してたのに」


健先輩の笑顔につられて、笑ってしまう。

健先輩は、素顔で私服だと、まるで大学生みたい。

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