双子ですけどなにか?【修正終わりました】
【晴人】見上げた空


メガネは言った。

逃げていても何も解決しないと。

あのビラの犯人がヒナだと知っても、何もできなかった俺に、喝を入れた。


だって、恐ろしかったんだ。

また、彩花が壊れてしまわないかと。


結局、メガネが立てた作戦は、彩花を救う事になった。

メガネのスマホを通じた、ヒナと俺達の会話は、放送室にいた三井のスマホに転送され、全校に流された。

おかげで俺と彩花の潔白は証明され、ヒナが学校に来なくなった事にビビったやつらは、もう、彩花や里美をイジメる事は無くなった。

そして、本当に人の噂なんていうのは儚いもので、もうすぐ冬休みになる学校は、ほとんど普通の空気に戻っていた。


ただ俺だけは、あの別れの日から、時間が止まってしまったみたいだった。


もう二度と、戻れない。


メガネの過去の話を盗み聞いて、自分が誤解していた事もショックだったけど、それ以上に。

本当に、里美に絶対にしてはいけない事を、自分はしてしまったんだと遅すぎる後悔をした。


ただ、彩花がメガネとヨリを戻せて……しかも今は美奈子のグループと仲良くして、友達も増えたと聞いて。

それだけが、救いだと思った。


もう俺に、守るべきものはなくなった。

彩花にはメガネがいる。

彼女は……いつかまた、他の男が守ってくれるだろう。


だけど。


この、雪が舞って来そうな寒い毎日に、俺が思い描くぬくもりは、いまだにお前のものなんだ。

笑ってくれよ。

守りたいと言いながら、ただ傷つける事しかできなかった俺を。


なぁ。

里美。

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