双子ですけどなにか?【修正終わりました】
【彩花】いつまでも
パーティーの帰り道。
夢の世界のような会場から出た瞬間、あたし達を包んだのは、刺すような寒さだった。
「さむっ……」
それもそのはず。あたりには、うっすら雪が積もりはじめていた。
「わぁ……」
頭上からはらはら舞い落ちて区る、白、白、白。
「綺麗……」
「本当だ。……おっと」
ぼんやり上を見ていた私の肩を、健先輩が支える。
どうやら転びそうになっていたらしい。
帰っていく生徒達から、冷やかしの声が上がる。
他にも寄り添って歩く男女の姿が、ちらほら見えた。
すっかり暗くなった中、雪に足を取られないようによちよち歩いている。
「大丈夫かな……晴人達……」
里美先輩が突然体調不良でうずくまってしまったとき、とっさに健先輩と目配せをして、晴人に無理矢理送らせてしまったけど……。
「大丈夫だよ、多分」
「そうだと良いんですけど……」
「そんなに心配される晴人くんって……」
ふふ、と健先輩が苦笑する。
「だって……あいつ、意外と繊細なんだもん」
「でも元々、里美ともう一度会わせるために晴人くんを連れ出したんだろ。あとは黙って見守ろう」
「えぇー…。健先輩だって、そのつもりで条件を飲んだくせに」
そうなんだ。
晴人が土下座をして何でもすると言った時。
健先輩は真っ先に、里美先輩と晴人を復縁させる事を、思いついたらしい。
でも基本は見守るつもりだったから、しばらく待っていた。
結局、いつまでも修復する気配が無いので、クリスマスパーティーに連れ出したんだ。
騒動が一段落した2学期終盤の生徒会でも、やはり里美先輩は普通の顔で私に接した。
まるで、晴人との事など、初めから無かったかのように。
何か相談を受けたか健先輩に聞いても、『それはプライベートな事だから』と、全然教えてくれなかった。
「何とかしてあげたいんだけどな……」
晴人は今、どうしているだろう。
空を見上げたら、頬に冷たい雪が落ちた。