不良狼の一途な溺愛
キョロキョロと左右を見回す。
すると、先生は下校していく生徒たちの間を軽快にすり抜けて、既に私の視線から消えそうになっていた。
「あっ、先生…!」
急いで追いかけるけれど、先生の歩くスピードは、やけに速くて…
私は、廊下の突き当たりを曲がったところで、その姿を見失ってしまった。
もう…。
呼びに来たんだったら、一緒に職員室まで連れて行ってよ…。
校舎は広いし、私は今日から高校に来たばかり。
職員室がどこにあるのか、まだよく分からないんですけど…。
心の中で不満を抱きながらも、私は足を進めた。
ま、まあ…こっちに先生が歩いて行ったのは確かだし、そのうち職員室が見つかるよね…。
呑気に考えながら歩いているうちに、他の棟へと繋がる渡り廊下にやって来た。
もしかして、この先かな…職員室。
でも、あまり人気を感じないや…。
立ち止まって、うーん…と唸っていると、どこからか“御苅〜!”と呼ぶ先生の声が聞こえてきた。