不良狼の一途な溺愛

「蓮君が悪いわけじゃないんだし、謝らないで?本当に私は大丈夫だから。あの…来てくれて、ありがとう…。」


助けてもらったことに、素直にお礼を言うと、蓮君はゆっくりと体を離した。


心なしか、頬が赤くなっているように感じる。


どうしたんだろう…?


ジッと見つめると、蓮君は慌てて私の膝に視線を落とした。


「そ、そうだ。この傷口、早く消毒して手当てしないとな。」


「あっ…。」


そう言えば、転んだ時に膝を擦り剥いたんだっけ…。


私も血が出ている傷口に視線を向けた。


「保健室、行くぞ。」


「い、いいよ…。ケガって言っても大したことないし、私…絆創膏を持ってるから。」


制服のポケットから絆創膏を出そうとした瞬間、蓮君に腕をギュッと掴まれた。


「ちゃんと消毒しておかねぇと、もっと傷口が痛むかもしれないだろ?ほら、行くぞ。」


ここまで促されたら、断れない。


コクンと頷くと、蓮君は片手を私の膝の下に差し込んだ。



< 187 / 364 >

この作品をシェア

pagetop