不良狼の一途な溺愛
ひゃああ!!
私ってば、ついつい勢いで怒っちゃったよ…。
このままだと紫堂君が本気でキレてしまうかもしれない…。
そんな危機感を抱いた私は、制服のポケットから絆創膏を取り出した。
自分がケガした時に直ぐに貼れるようにと、いつも1,2枚は用意してある。
それが、今回こんな状況で使うことになるとは、夢にも思わなかったけど。
「手、そのまま動かさないで下さい。」
「…………。」
黙って私を見ている紫堂君にビクつきながら、傷口に絆創膏をペタッと貼りつけた。
「とりあえず、応急措置です…。家に帰ったら、ちゃんと消毒した方がいいと思いますよ…。」
絆創膏の貼られた部分をジーッと見ている紫堂君。
余計なお世話…とでも思ってるのかもしれない。
まあ、いいや。
痛々しい傷口を見た以上、そのままにしておくのも嫌だったもんね…。
私は突っ立っている紫堂君の手にマンガ本をのせた。
「じゃあ、今度こそ失礼します。」
何歩か後退りをしてから、私は紫堂君に背を向けて一気に走りだした。