不良狼の一途な溺愛

「あれ?紫堂じゃないか!珍しいなぁ、今日は朝から来たのか…!」


「はい。」


風間先生は紫堂君を見つけると、ビックリした表情を浮かべながら声を掛けた。


「でも、なんで他の席に座ってるんだ?紫堂の席はココだろ?」


そう言って、本来の席を指差した。


さすが先生、よくぞ言ってくれましたっ!!


私も賛同してコクコクと頷く。


こうなったら、“早く自分の席に戻れ”ってビシッと言ってやって下さい!


期待を込めて先生を言葉を待っていると、先に紫堂君が口を開いた。



「俺、今日からこの席でいいっスか?ここに移動した方が出席率も上がる気がするんで。」


そんなわけないでしょうが…。


あり得ない言い訳に苦笑いしていると、先生は何故かフムフムと納得したような表情になった。


「よし!紫堂がそこまで言うなら、まあ…その席でいっか。出席率が上がってくれるなら、俺としても有難いし。」



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