これを運命とするならば





椿を。
あの温かさを。
あの柔らかさを。


あの、優しさを。


全部全部自分のものにして、誰にも見られないように閉じこめてしまいたいと思った。










「………あ、いたいた。って寒っ!」


目を閉じていると聞こえてくるのは今一番聞きたくない声。
私がゆっくり目を開けてそちらに視線をやると、狭川がへらへらした表情でこちらを眺めていた。





< 61 / 105 >

この作品をシェア

pagetop