これを運命とするならば





その掠れた声に私がまた疼く。
さっきまで揺らいでいた金色の瞳は、今はとっくに色を含んだ眼差しに変わっていた。


逆らえない。
その眼差しに、どうしようもなく心臓がはねる。



「正臣、…!」


―――一瞬だった。
薄く開いた唇の隙間に舌をねじ込んで、食らい尽くすように口づけを落とす。
頬に添えられていたはずの右手はいつの間にか私の頭を支えるように後頭部にあり、もう片方は自分の身体に引き寄せるように腰を回されて。


荒い吐息と、いやらしく響く水音。


私は、無我夢中で私を貪る正臣さんにしがみつくのが精一杯だった。





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