君のための嘘
「目が腫れている 泣いたんだね?」


「えっ……」


急いで顔を隠したくて、ラルフに背中を向ける。


「可哀想に……隠さなくてもいいんだよ」


「……パパとママを考えたら申し訳なくなって……」


そうだ、私の生い立ちをラルフは知らなかった……。


ラルフは夏帆の肩に触れると、自分の方に向かせてそっと抱きしめた。


「君にいろいろな想いをさせてすまない 精神的に辛いかい?」


「ラルフのせいじゃないから 私が霧生家に行けば、パパたちを裏切らなくて済んだんだけど……ラルフは私にとって救世主なの こんな素敵な所に住まわせてもらって感謝しきれない」


「霧生家に行けば贅沢させてもらえる」


「ううん、知らない人と結婚するなんて出来ないから……ラルフと結婚して2年間の間にどうしたいのか考える……そう決めたの」


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