君のための嘘

新婚らしく

「少し……でも、重たいでしょう?降ります」


「じゃあ、逃げないで隣に座って」


ラルフの言う通りに夏帆は隣に腰を下ろした。


夏帆はホッと吐息を吐いた時、ラルフの腕が今度は肩に回ってきた。


一瞬、身を固くしたものの、「これは練習」そう思い肩の力を緩めた。


「そうだよ 肩に力が入ると笑顔も嘘っぽく見える」


「……うん」


「明日は美由紀の前で君の頬に触れたり、軽くキスをするかもしれない」


「……うん」


「君は本当にアメリカで育ったの?キスなんて日常茶飯事だよね?」


キスを言われて真っ赤になった夏帆に今度はラルフの方が戸惑った。


そう……アメリカで生活したのだから、もっとオープンな子だと思っていた……。



< 178 / 521 >

この作品をシェア

pagetop