君のための嘘
露天風呂の向こうはプライベートテラスで箱庭が作られており、小さな燈籠に雪が積もり始めていた。


夏帆はラルフに近づいて横に並ぶ。


「さすがに露天風呂は寒いね」


吐く息が白い。


「うん。でもきっと湯船に入ると気持ちがいいよ」


ふと、ラルフはここへ来た事があるのかと気になった。


もしかしたら、美由紀さんとここに……。


夏帆は思いを振り払うように首を横に振った。


「夏帆ちゃん、どうしたの?」


「あ……な、なんでもないっ。ああ、そうだ。ロビーにあったお土産屋さんに行って来てもいい?」


旅館のロビーに入ってから、夏帆はずっと土産物店が気になっていた。


「一緒に行こう」


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