君のための嘘
土産物店で夏帆は、目的の物を探し奥に入っていく。


「あった……」


幼い頃、大事にしていた小さな木の箱が今、目の前にある。


ラルフは隣に並ぶと、夏帆がじっと見ている小さな箱に視線を向けた。


その小さな箱を見て、ラルフは衝撃を受けた。


これは……。


ラルフにも見覚えのある箱だった。


大事にされていた箱で、触らせ遊ばせてくれるものの、けっしてくれなかったものだ。


この寄木細工の箱を夏帆ちゃんも持っていたのか……。


「これが探していた物なのかい?」


「うん」


ラルフに孤児院で育ったことを言っていないので返す言葉が少ない。



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