君のための嘘
雪見酒を楽しむ客がいるのだろう。


各種の日本酒と、電子レンジが用意されていた。


ラルフは手際よくとっくりに中辛の日本酒を注ぎ、電子レンジに入れる。


ラルフも露天風呂に入らないまでも、一緒に飲もうとおちょこを2つ用意した。


******


ラルフがお酒を用意している間に夏帆はバスタオルを胸にきつく巻いて湯船の中に戻った。


少しのぼせてしまいそうだったが、雪見酒も経験してみたい。


腰掛けられるようになっている場所に座ると、寒い空気が上半身を包んで気持ち良かった。





ラルフは湯船に浮かせる深めの盆にとっくりとおちょこをのせて露天風呂へ戻った。


露天風呂の夏帆を見た瞬間、ラルフの足が止まる。


バスタオルに包まれた上半身が湯船から出ていたからだ。


ラルフが来た気配に気づいた夏帆は、目と目が合うと恥ずかしそうに微笑む。



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