君のための嘘

真実と苦悩

夏帆が連れ去られた先は、先ほどまでラルフがいた霧生家の本家だった。


祖母はすでに夏帆を調査していた。


しかし調査は詳しくは分からず、ラルフと一緒に住み始め、籍を入れた事しかわからなかった。


一流企業に勤めているのならまだしも、スーパーの品出しのアルバイトをしていると調べ上げ、夏帆は孫の妻として相応しくないと決めつけた。


夏帆をロスから呼んだのはラルフが計画した事であり、祖母は何も知らなかった。


そして夏帆が祖母にとってどれだけ大切な存在なのかも。




夏帆はベッドの上で目を覚ました。


目を覚ましたが頭がぼうっとしており、微かに吐き気を覚えていた。


私……。


男たちに拉致された事を思い出し、慌てて起き上がろうとした。


だが、両手首を身体の前で縛られ、起き上がれない。


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