君のための嘘

願いごと

「夏帆ちゃん?」


少し怪訝そうな声が頭の上から降ってくる。


「……今までごめんなさい」


「何を謝るんだい?君の生活を混乱させたのは僕の方なのに。君に頭が上がらない思いだよ」


そっと肩を抱き寄せてくれる手から少しずつ熱を感じ始める。


「それでも……私はラルフに会えて良かった」


「僕も君に出会えて良かった ロスに帰っても養父様の会社は大丈夫だから、安心して暮らすといい」


ラルフは抱きしめた夏帆の背中を優しく叩く。


その手は、まるで母親が赤ちゃんをあやす様に柔らかい。


私に心臓の事を知られたくないと思っている。


侑弥さんの言葉が思い出された。


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