マリア

形見

 愛しい徳二郎の子供達。
 マリアを見て笑う顔に面影が映るように、その身体にも彼の魂を受け継いだのか。
 
 マリアは立ち止まり、周りを見渡し、かつて愛しい者が居たこの場所に面影を探した。
 きっと、徳二郎もこの道を何度も歩いただろう。あの窓に腰掛け、原田や仲間と談笑したり、あの木の陰で本を読んだりしたかもしれない。様々な姿の徳二郎が目に浮かぶ。
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