リアル




そして、その頭までもベルトで固定された。


「……あれは?」


薫は美緒にその様子について尋ねた。


「ああして、動けないようにしてしまうんですよ。そうしないと、嫌がる子供の治療は難しいんです」


美緒は薫に顔を向けずに答えた。


少女は更なる恐怖を感じたのか、火がついたように泣き出した。


その声は診察室中に響き渡った。


きん、と耳鳴りがする程の高音だ。


それでもやがて諦めたのか泣くのを止めた。


「……失礼しますね」


薫は小さな声で言い、美緒の隣から離れた。






.
< 216 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop