リアル





「ふ……っ、うっ……」


隆は薫の背中に手を回したまま、泣いた。


隆の背中にも薫の手が回った。


背中に温かな感触が伝わり、そこから全ての体温を奪い尽くされるような感じだ。


だが、溢れ出る涙が止まることはない。


薫の首筋と肩に涙が溢れていき、そこが濡れていく。


明かりの灯らない部屋には、隆の泣き声だけが響く。







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