∮ファースト・ラブ∮
「紀美子…………。
お前……いったい何がしたいんだよ!!」
パニックになっているあたしの後ろから、声が聞こえた。
この声は、さっきも聞こえたものだった。
ひょっとして……この声って……。
声の主が誰か見ようと女の人の肩から覗けば、やっぱり葛野(くずの)先輩だった。
葛野先輩は、地面にうつ伏せになって倒れて…………いた。
土の地面には、葛野先輩が寝転んでいるところから長い線が1メートルくらい伸びている。
もしかして……………………。
…………………………あそこからここまで滑ってきた?
「…………って。
あんた……何やってんの?
いい年して砂遊び?」
「そうそう、砂遊び……って、誰が砂遊びするか!!
お前が手鞠ちゃんが気に入らないって言うから、
手鞠ちゃんに危害が加わるかと思って跳んできたんだろうが!!」
女の人の軽蔑(けいべつ)の眼差しに、見事なノリツッコミが返ってきた。
葛野先輩と、この女の人は仲が良さそうだ。
友達?
かな?
「あの……葛野先輩……こちらの方って……おとも」
『ちがう!!』
お友達ですか?
って聞こうとした瞬間、葛野先輩と女の人の声がハモって否定してきた。
……なんだろう。
とっても意気投合しているみたいなんだけど、友達じゃないの?