愛してます。愛してください。愛してるから。
〜龍夜side

桜の部屋から出た俺は、彼女…千夏の所に向かった。

もう俺の中では終わった女だが、桜の言うとおり別れることを了承してもらっていない。

桜もそんな男と一緒に居たくないよな?
桜と一緒に居たいから、ちゃんとケリつけてくる。
千夏の部屋に向かったらちょうど検査があるみたいで部屋の前で会った。


「龍夜!!」


「よぉ…。」


「なに?やっぱり別れたくなくなった!?」


「いや、ケリつけにきた。」


「ケリ?」


「検査が終わったら屋上来て。待ってる。」



それだけ言って俺は、いつも居た屋上に向かった。

屋上に着いた俺は、あの部屋が見える場所に必ず行く。
この場所は俺にとって、特別な場所だ。
あの子の部屋が変わってしまったから場所が1発で分からないだろうな。

そんなことを思いながらフェンスに寄りかかって煙草を吸っていた。
しばらくして、千夏が屋上に来た。


…こいつが可愛いねぇ。

千夏と付き合ったのはただの気まぐれ。
千夏のことを可愛いなんて思ったことはない。
好きでもないし、嫌いでもない。
だけど、好きか嫌いかと言えば嫌いだ。

千夏は貧血で入院しているが、香水の匂いが臭い。
近くにいるだけで頭が痛くなる。



「ケリってなに?」


「あぁ。俺、好きな奴できたって言ったじゃん。」


「うん。」


「だから、別れてほしいとも言ったじゃん。」


「うん。」


「別れることを了承してほしい。」


「…嫌よ。」


「なんで…。」


「だって私は、龍夜が好きだもん!!私だけの龍夜だもん!!」



…何でだろう。
こいつのものだと言われたことに物凄くショックを受けてる。

桜が言うには可愛いらしい千夏。
可愛い奴に言われたら嬉しいんじゃねぇの?
なのに俺は、物凄くショックを受けてる。
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