──愛してた。(極短)



「うん。今、何時?」

わざと目を擦り、今起きたと云うアピールをした。

すると、貴方はそれを見て安堵のため息をついた。

今、言ったら。

きっと、すぐに貴方は嬉しそうな顔で頷くだろう。


「20時だよ」

「用事あるから、帰るね」

身支度を済ませ、私は玄関へと向かった。

玄関先にある鏡で貴方の表情を確認すると、貴方は早く帰れと言わんばかりの顔をしていた。

「じゃあね」

私は貴方に向き直り、小さく手を振った。

「……ん」

貴方はぶっきらぼうに言った。

不機嫌な顔で。


嗚呼、ごめんね。

あの子が来るのにね。

私は泣きそうな顔を隠すように、貴方の家を出た。

そして、メールを打つ。



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