シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

迷いなく躊躇なく…ただひたすら完成された技を持つ紅皇。


彼女だから完遂出来る俺の切り札。

彼女しか出来ない、完璧な決行。


もし緋狭さんが…

俺の知る慈悲深い緋狭さんであるならば。


彼女なら、必ずやってくれる。



舞台は――

既に整っているんだ。



そう、俺はぐだぐだ考えすぎた。

だから彼女は、ずっと俺に告げていたんじゃないか。


死ね、と。


何度も何度も。


そこから俺の切り札は生まれたというのに、それでも俺は揺れ動いていて。



――坊は、死なねばなりませぬ。



これは…俺の未来を賭けた男の矜持。

それで潰れれば、俺はそれまでの男だったということ。


芹霞に相応しくない人物だったということ。


俺は芹霞を見ながら・・・手首の布を口に含んだ。


刹那の静寂。


そこに俺の想いを込めて。

全身全霊の愛を込めて。



「……愛しているよ、芹霞」



その呟きは届いたかどうかは判らない。


だけど覚えておいて欲しい。

いつでもどんな時でも。


俺はお前を愛している。


たとえこの身が滅んでも――

俺の愛だけは永遠に…お前に捧げるから。



俺は――

お前だけの男であり続けたい。

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