シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
「あ、逝ったな…全て」


由香ちゃんの予言通り、その場に踏みとどまって立っていた生徒達は全滅した。


途端、静けさを取り戻した。


それを満足気に見て笑う櫂と美少女。


凄く仲が良さそうだ。



……誰?



知り合い?



あたし…知らないんだけど?



その時、後頭部を叩かれて。


「……阿呆タレ。


あれは…


玲に決まってるだろ」



「へ?」


美少女はこちらに気付き、ふわりと微笑んだ。


「れ、玲くん?」


「ふふふ。おはよう、芹霞」


鳶色の瞳と、その囁くような声。


確かに玲くんに間違いない。


あたし…

やっぱり女止めたい。


その微笑みは、いつも以上に儚げで。


吸い込まれそうに揺らめいていて。



「すっごいな、師匠。ノリノリというか…薄幸の美少女風が適性?」


あたしは――

いつもより儚すぎるその振る舞いが、

泣きそうにも思えるその顔が、


儚げな少女を演じているが故のものだと思ったんだ。



「……何でッッ!!


櫂には…ンな顔を!!!


くそっ…!!」


煌が苦しげに顔を歪めていることすら知らず。


本当に何も知らないまま、


ただ――

玲くんの美貌に呑み込まれていたんだ。


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