シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

・寂寥

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玲くんに――


嫌われてしまったかもしれない。



どどん、と落ち込んでしまう。



話しかけてくれない。


笑いかけてくれない。


こちらから話題を振っても、昔のような…心隠した気味悪い笑い方を向けられて。


あたしが、あの笑顔は嫌いだということを知っているくせに。


そしてずっと櫂の隣から離れない。


いつも、優しい空気のようにあたしの近くにもいてくれたから、櫂の処ばかりにいる玲くんを見てると…空気が無くなったようで息苦しい。


玲くんは女装しているから、意図的に櫂と一緒に居るのかとも思ったけれど、やっぱり何か違う。


玲くんは、明らかにあたしを避けている。


どうして?

ねえ、玲くんどうして?


クラス割だって、玲くんがあたしと同じなのを拒否するとは思っていなくて。


遠回しでもなく、はっきりと。


櫂と煌を選んだ。


あたし…自惚れすぎていたらしい。


玲くんはあたしのことを理解してくれていると。

あたしを受け入れてくれると。


そう思い込んでいた。


時に玲くんは意地悪で、あたしをからかってばかりいるけれど。


だけど玲くんは…優しいから。


いつだって優しかったから。


だからあたしの意向を無視することはないと、思い込んでいたんだ。


授業中こっそりメールを送ってみた。


"玲くん、ごめんね"


だけど返事はこない。


"嫌いになっちゃった?"


それでも返事は来ない。


あたしは机に突っ伏した。


紫茉ちゃんにはメールや電話を着拒されているようで繋がらないし。


もうふんだりけったり。
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