シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

・責任

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暗闇の東京は。


温かな光が灯っているのに、棲まう人間の心は、吹きすさぶ風のように冷たかった。


警戒すれど、刺客は現われないのは…紫堂の警護団が関係しているのだろう。


恐らく、2時間。


副団長だといったあの男を信じるならば。


2時間だけが、本当に安息出来る時間だ。


その間に、作戦会議をする為にも、まず日比谷のロイヤルホテルに戻れば。


部屋に行く前に、フロントにて荷物全て渡され、即刻退去を言い渡された。


支配人は急病なんて…ありえない。


ロイヤルホテルを追い出されたあたし達は…受け入れ先を見つけて、夜空の元、彷徨うことになった。


幾ら流離(さすら)えど、

幾ら脅し懇願しようと、


玲くんやや桜ちゃん、煌の交渉を突っぱねるだけの、"何か"に守られた東京。


そして玲くんが叫ぶ。


「僕の…"コード変換"が出来ない!!!」


電力に満ち溢れている東京で。


玲くんの支配下にある電気までもが、抗い始めたらしい。


「ありえない…僕のコード変換を上回る早さなんて…まるで"約束の地(カナン)"の人工知能のようだ!!!」


「やっぱり口座も凍結され、ブラックリストに載ったままだね。師匠が辟易する凍結って何なんだよ。メインコンピュータがワームにやられていたのと関係があるのかな」


「判らない。けれど、今のままでは…調べる術がない」


恐らく――

頼みの綱となる選択肢の1つは失った。


あたし達に都合良くデータを書き換えて、乗り切ることは出来ないらしい。

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