シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


過去…。


試験中に芹霞さんが熱を出した時、煌が心配のあまり余白に綴った"よくなりますように"の祈願文の個数を数学教師は数えていた。


今度も数を数えていたらしい。


余程暇人なのか、無視出来ぬ程の煌の切々とした思いが表現されていたのか。


今回の試験もどうせ、芹霞さんが夢中になったZodiacのことばかり考えていたのだろう。


減点したのは、そこに並々ならぬ怨念を感じた故の…防護策、"呪詛返し"のようなものか。


書かなくても追試だっただろうが、何とも判りやすい単純馬鹿だ。


これで櫂様の護衛とは、情けなくて涙が出てきそうだ。



「ふふふ、きっと今頃は…氷皇経由で緋狭さんに伝わっているだろうね?

続けて赤点なら…幾ら赤色緋狭さん言えど、容赦ないよね?」



「!!!!?」


馬鹿蜜柑が飛び上がった。


「べ、勉強しねえと…。あ、明日…あ、もう…今日?」


涙で目を潤ませた馬鹿蜜柑。


「ふふふ。これで今夜は芹霞に近づけないね?」


…玲様。


"えげつない"お顔です…。




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