シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「いい反応ありがとう。あははははは~」


「"あははははは~"じゃねえ!!! 勝手に決めるんじゃねえ!! 此処は櫂の家だ!!!」


「んー。ね、カイクン。"約束の地(カナン)"で、俺…協力してあげたよね?」


漆黒の少年は押し黙る。


「ねえ、レイクン。助けて上げたよね?」


白皙の青年も押し黙る。


「ワンワンもサクラチャンも…思う処あるよね?

まさか――…

恩を仇で返さないよね、皆」



「だ、だからと言って…この家に住むというのは…」


白皙の青年が、代表して…控え目な拒絶の意向を示す。


彼らはどうしても、青い男を中に入れたくないらしい。


「困ったな。駄目だったら…俺、アカの家に行かなきゃ。アカがね、ワンワンの部屋を使っていいっていうんだ」


「はあ!!?」


橙色の少年が、驚いた声を上げる。


「仕方がないね、じゃあ悪いけれど…引越し荷物は神崎家に変更だ。ふふふふ。アカも忙しくて家にいないことだし、芹霞(セリカ)ちゃんにあんなこともこんなことも…婚前交渉し放題「待て」


背を向けた青い男に、漆黒の少年が荒い声をかけた。


「なあに?」


判っていて――

青い男は判らないという顔をする。


それを熟知している漆黒の少年は、忌々しげな顔つきをした。


自らの家に招き寝食を共にするか、

それとも最愛の少女の家に行かせるか。


それは苦渋の決断。


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