シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「え、玲くん…? 成功? それとも…?」
"玲くん"が目覚めたの?
一抹の不安が胸に過ぎる。
隣の玲くんを見ようと思ったけれど、あたしの頭は固定されていて動かなくて。
不安でドキドキする胸を押さえて、目の前の玲くんをじっくり観察した。
綺麗な綺麗な玲くんの顔。
入っているのは…誰?
その時、玲くんが微笑した。
優しく柔らかく。
そして――
妖しく。
「僕、お願いしたでしょう?
肉体に還った時には、"甘い甘い蕩けるようなご褒美"が欲しいって」
――戻ってきたら…ご褒美頂戴ね?
間違いない、これは――
「玲くん!!!」
戻って来れたんだ!!!
凄い、流石は玲くんだ!!!
そうだね、櫂も言ってた"褒美"。
あたし、まだ用意していないや。
奮発して凄い美味しい高級菓子を買おう。
明日以降でも許して貰えるかな。
「玲くん、成功したんだね!!? お帰り、玲くんッッ!!! よかった~ッッ!!!
ねえ、ご褒美…明日、何処のお菓子屋さんが……」
「……僕、こっちがいい。
今すぐ――」
それは一瞬のこと。
あたしの頭を固定していたのは由香ちゃんではなく玲くんだと気づいた時には、あたしと玲くんの位置は反転し、あたしは玲くんに腕枕をされて、やはり至近距離で見下ろされている状態で。
「???」
艶然と玲くんが微笑したかと思うと…
突然――
あたしの唇に玲くんの唇が重なり合った。