覆される都市伝説
蠢く闇
「あ~りゃりゃ。逃げられちゃったか」

ナナオがかつて身を投げた崖の上には、2人の少年の姿がある。

一人はマカと同じ顔をした、黒づくめの少年。

マカの双子の弟である、マノン。

「相変わらずマカは行動が素早い上に、迅速だね」

マノンの隣にいるのは、リウ。

セツカと同じ歳で同属の者だったが、血族を裏切り、今はマノンと行動を共にしている。

「ホントに。…で? どこに逃げたか、分かる?」

マノンはフードの奥から、怪しい光を眼に宿し、リウを見る。

「うん」

リウが手を上げると、一羽の鳥がとまる。

しかしその頭には、黒い指の跡が残っていた。

「どうやら教会の奥に、隠し通路があったみたい。そこからみんな、移動したって」

「じゃ、行こうか。ボク、いい加減お腹減ったよぉ」

マノンは顔をしかめ、腹を撫でた。
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