覆される都市伝説
でも寝顔も美人。

漆黒のサラサラヘアーは立ち上がった時、腰まで揺れていた。

前髪は眉毛の上まで、きちんと切りそろえられている。

黒い瞳は切れ長で、唇は何も塗っていないのに真っ赤で艶がある。

白くキメ細やかな肌に、すんなり伸びた手足。

そしてどことなく…変わった空気を持っている。

時々、力を持つ人間に当たる時があったから、こういう空気をわたしは知っている。

…だけどこんな反応をしたのは、この人が始めて。

『黙っていれば、美人なんだけどね』

体付きは女性そのものだけど、顔付きはちょっと中世的な雰囲気がある。

こういう人が友達だったら、きっと自慢してしまう。

わたしは女の子の寝顔を見ながら、息を吐いた。

生前に出会えていたのなら…わたしはこういう存在にならずに済んだのかもしれない。
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