雪中恋心

ある日のことだった。

自分の放送にもなんとなく慣れてきた頃、他の人の放送を巡回していた。

すると、とある放送でSkypeの着信待ちの放送があった。
よくある放送タイプで、リスナーからの着信を待ち、その通話内容を放送する。

相手は男性だったけど、何気なく、本当に何気なく、私もSkypeをかけてみた。




放送が終わり、私はその放送をしていた人にお礼のチャットを飛ばした。

《先程はありがとうございましたー!》

すると、すぐに返信。

《いえいえ、こちらこそ、かけてくれてありがとうございました!》


そのあと暫くチャットを続けていると、どうやら趣味が合うらしいことがわかり、話が弾んだ。


《チャットもいいですが、どうせなら通話しませんか?》



私がそう提案すると、彼は戸惑いながらも了承したので、通話の準備を整えて発信。




コールが鳴る。




提案したのは私だが、それでも緊張はしていた。


鳴る、


鳴る、




そして無音。







「どうも、さっきぶりですね」



緊張を隠すように笑いながらそう言うと、放送中の通話で聞いたハキハキした声とは違い、とてもドギマギした声が聞こえた。


『そ、そうですね』

「…?どうかされましたか?」

『いや、ちょっと…プライベートの時の通話って初めてで……緊張しちゃってます』

「あはは、私もちょっと緊張してます」

『あれ…そうなんですか?』



彼が緊張してくれているので、自分はコール途中よりは落ち着いていた。

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