繋いだ手
ぇ?どうした?

いつもの善なら、

それでも、情があるし、
わがままいっても結局俺のこと、好きすぎてそうなっちゃうっていうし、


何だかんだいってほっとけない。


善、今までならそういってた。


「前は、情にフラフラさせられてた。


けどね、今は、その一歩先に進んだ。


さすがに、こんだけ振り回されると麻痺するよ。


彼女の何が好きで、

何を大事にしていきたいか

探せない。


俺のこと何だと思ってんの?

って思うし、

いっつも、遠慮して
我慢大会みたいだし…


このままでいいのか?って

最近は本気で考えてるんだ。


アイツに求めるものが、

俺の中にあるのか?

そこをキーポイントにしたら、

わかんなくなってる先が見えてきそうなところに来たんだ。


何より、もう疲れた。」


バレーボール大会用のボールは

気付いたら、

善のベンチになっていて、

あたしは近くのブロックをソレに宛てた。


善は、悲しいというより、
自分の身の振り方や、

今の感情に真剣に向き合ってる横顔だった。


あたしは、善の話しを聞くに徹していた。


相変わらず、自分の話しをしていない。




けれど、


なぜか、その時




「積み上げたものが壊れるのは怖いよね。」



そう話し出すと



あんだけ話すかどうか

迷っていたことを、




覚悟も勢いも付けずに、





あたしは、自然と話し始めていた。
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