現代都市伝説物語~恋愛魔曲~
「純輝君。もしかして、怖いんだぁ?」


理緒が悪戯っぽく笑うと、純輝は急に慌て出した。


「そ、そ、そんな事ないぞ?こ、怖くなんか…、な、ない…」


「帰るなら、今のうちだよぉ?」


更に、理緒が悪戯っぽく笑う。


「お、俺は帰らないぜ」


わずかに震えた声で言うと、理緒から目を逸らす様に、純輝は再び正面へ視線を戻した。


すると、隣を歩く幹彦が、純輝の方を見てきた。


「き、木下。ど、どうしたんだ…?」


「沖本…」


「だ、だから…、な、何だ…?」


「お前、少し落ち着け」


「お、落ち着いてるけど…」


「どこがだ?お前、動揺し過ぎだ」


「……」


幹彦に冷たく言われて、純輝は返す言葉がなくなり、そのまま黙って俯いた。
< 43 / 201 >

この作品をシェア

pagetop