サンドグラス ~アルツハイマー闘病記~
仕事場に着くと、

「おはようございま~す。」

直美が、元気よく挨拶してきた。
 
「あら?

 今日は直美さん早いのね。」

と有喜が言う。
 
「はい。

 昨日有喜部長に叱られたので、

 今日は張り切って

 早く来て掃除してみました。」

と、ニコニコしながら、

今日一日をやり遂げたかのような顔をしている。
 
「掃除も良いけど、

 契約とって来た方が

 あなたの評価につながるんだから、

 そっちに気回した方が

 いいんじゃない?

 掃除なんて、子供でも

 躾の中で出来るようになってるんだから、

 誰にでも出来る事なの。」

と、少しきつい口調で言ってしまった。

有喜が結婚に踏み出せないきっかけ

1号の朝からの登場により、

有喜の怒りは自然と

直美に向けられてしまった。

言い過ぎたかな?

と少し反省はしたが後の祭りだ。

直美の同僚からのブーイングの嵐。

どうせ昨日男と喧嘩でもしたんじゃない?

あの性格だし、

また振られたのよ!

と、ヒソヒソ文句を言っている言葉が耳に付く。

ホント、ここはストレスの宝庫ね。

と、機嫌を悪くした有喜は外回りに出かけた。
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