愛花~桜~
幼馴染みは嘘ではないがまた真実でもない。
だが、本当のことを語る気にはなれなかった。
ヒルトは最愛の恋人で婚約者で誰よりも傍にいてほしい人なのだと告げることなんか出来るわけもなかった。
「イヴ、それは、本当ですか?」
「……、私の婚約者……前の村にいたときの恋人です」
そう、静かに告げるとクラウドの瞳に怒りが浮かんだ気がした。
掴まれた手に力が入り痛みに顔をしかめたが直ぐに手を離され、クラウドは踵を返していなくなる。
クラウドの怒りの意味も何故此処に来ていたのかも分からずにイヴはその場に座り込むと赤く手形がついた手首に手を添えてクラウドの瞳を思い出す。
悲しそうで辛そうでそれでいてハッキリとした怒りが混じっており、思い出しただけで恐怖に僅かに体を震わせた。
ヒルトはいつも優しく穏やかであんな風に怒ることなんかなかったからどうしたらいいのかも分からずにイヴは風に揺れる桜に目を向けて悲しげに目を細めた。
身の置き場の無いこの後宮でクラウドが唯一の話し相手だったのだから。
だが、本当のことを語る気にはなれなかった。
ヒルトは最愛の恋人で婚約者で誰よりも傍にいてほしい人なのだと告げることなんか出来るわけもなかった。
「イヴ、それは、本当ですか?」
「……、私の婚約者……前の村にいたときの恋人です」
そう、静かに告げるとクラウドの瞳に怒りが浮かんだ気がした。
掴まれた手に力が入り痛みに顔をしかめたが直ぐに手を離され、クラウドは踵を返していなくなる。
クラウドの怒りの意味も何故此処に来ていたのかも分からずにイヴはその場に座り込むと赤く手形がついた手首に手を添えてクラウドの瞳を思い出す。
悲しそうで辛そうでそれでいてハッキリとした怒りが混じっており、思い出しただけで恐怖に僅かに体を震わせた。
ヒルトはいつも優しく穏やかであんな風に怒ることなんかなかったからどうしたらいいのかも分からずにイヴは風に揺れる桜に目を向けて悲しげに目を細めた。
身の置き場の無いこの後宮でクラウドが唯一の話し相手だったのだから。