愛花~桜~
第三章
真夜中、ふといきなり目を覚ました。
言い様のない感情が込み上げてきて不安になり身動きすると人の気配があるのが分かった。
月は雲で隠れてしまったために部屋の中は真っ暗でさっきまで寝ていたために目は暗さに慣れなかった。

「誰……?」

胸を締め付けられるような不安から寝起きで気怠い体を起こして不安げに瞳を揺らし小さく、ヒルトと呟いてしまった。
その瞬間、気配が動いたのが分かり身を固くすると強く手首を捕まれて押し倒された。
隠れていた月が姿を表して部屋の中に光が入り見えた顔に顔を強張らせた。

「クラ、ウド」

「我慢しようと思っていました。でも、貴女が……、貴女が恋人の名を呼ぶというのならば分からせてあげましょう。貴女が誰の妻なのかを」

両手を纏められベッドの柵に紐のようなものでくくりつけられる。
抵抗しようにも男の力には敵わず顔を青ざめ、引き裂かれた服に何が始まるのか再認識した。
嫌だと暴れる足を押さえ付けられ、肌に印される所有の証。
嫌だと泣き叫ぼうと誰も助けに来ることはなく無惨にも散らされる純潔の痛みにまた涙した。
恋人の顔が脳裏で浮かんで消え、口から泣き言と謝罪そして拒絶しか漏れず、行為が終わる頃にはただ虚ろに天井を見上げて涙し、紐が外されても、クラウドが立ち去っても反応できなかった。
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