しゃぼん玉
その頃リクは、星崎家にいた。
自宅で預かっていたメイが出て行ってしまった経緯について、ミズキ達と話している。
ナナセ、マナ、シュンも、真剣な面持ちだ。
リクは悲しそうな表情で、
「俺んちの親、メイのことをあまり良く思ってないみたいで……。
昔はそんなことなかったんすけど。
……昔、おばさんがメイの髪の毛を目茶苦茶に切ったことがあるんです。
その時も、メイを心配しながら美容院に連れて行ってくれたりしたんで……」
「そんな……」
ミズキの両手は震えた。
「穂積さんは、お母さんにそんなことされていたの!?
髪まで……」
リクは沈痛な面持ちで、
「それはマシな方っすよ。
この間なんて、熱湯でヤケド負わされてたんですから……」
その場の全員が息を飲む。
ミズキは瞳に浮かべた涙をポツリとこぼした。
「信じられない……。
自分の子供に、そんなことをする親がいるなんて……」
ナナセ、マナ、シュンも、ショックで言葉を失っていた。
テレビや新聞で見聞きする虐待の現実は、こんなにも残酷で生々しい。