しゃぼん玉

「これは先に俺が読む。

それからメイに渡せ。いいな?」

リョウは潤んだ瞳で困った顔をした。

「俺は、それを読んでほしいなんて言ってません!

ただ、悪気があって穂積さんを無視してるわけじゃないって言いたかっただけなんです!!」

「離せよ!!」

マサヤはリョウの腹を力一杯蹴り飛ばした。

「ぐっ……」

リョウは腰を強打し、夏なのにひんやり冷たい床に横たわった。

「ふん。ケンカもできねえガキが、調子乗ってんじゃねえよ」

リョウはのっそり起き上がる。

教室を出ていくマサヤを見送るしかなかった。

メイ以外の人には絶対に見られたくない手紙だったのに……。

マサヤの力には勝てなかった。

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