しゃぼん玉


ミズキは、アイリやナナセを連れて帰宅していた。


ミズキの両親、菜月と大成は、予想外の訪問者に驚いていたが、ナナセとアイリの二者に、今夜泊まる部屋を用意してくれた。


菜月と大成は、リョウの件で割り切れない思いを抱いていたが、ミズキの友達がこうして訪ねてきてくれるのは本当に喜ばしいことだったし、来客が泊まるということで、自分達の鬱々(うつうつ)した気持ちも紛れるようだった。


ミズキは、ついさっき知ったリョウの過去を、すぐにでも菜月と大成に話したかったが、アイリの心情がひどく心配だったので、一旦、そのことは頭の隅に置いておくことにした。

ナナセとアイリを自室に招き、アイリの気持ちを吐き出させるミズキ。

アイリは、交際中の恋人·宇野マサヤが下級生イジメをしていたという事実を知り、大きくショックを受けていた。

それだけでなく、マサヤがアイリのことを「メイ」と呼び間違えた理由を知って、傷つかずにはいられなかった。

「マサヤは、中学の時メイって人のことが好きだったんだね……」

アイリは声を押し殺して泣き続けた。

ミズキはアイリの背中をさする。

穂積メイのことを全く知らないアイリに、彼女の話をすることにした。

穂積メイが、弟·リョウと関わっていたということを……。

「私ね、最近、穂積さんに会ったことがあるんだ」

「ミズキちゃんが?」

アイリは目をまたたかせる。

ナナセは二人の様子を静かに見ていた。

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