しゃぼん玉


清の葬儀が行われた数日後。

ミズキをはじめ、星崎家の人々と共に、メイは母·翔子の元を訪ねた。


大成が穂積家の玄関扉をノックすると、翔子はバスローブ姿で出てきた。

男と一緒にいるようだ。


大成や菜月、そしてミズキとメイの姿を見て、翔子はよそ行きの顔を作っていったん奥に引っ込み、着替えを済ませてからミズキ達を家に上げた。


ミズキ達が通されたのは、擦れた畳が敷かれた部屋だった。

メイがこうして自宅に足を踏み入れたのは、翔子にヤケドを負わされた日以来である。

この場にいるのが自分一人だったら怖かっただろうが、今はミズキとその両親がいるので、メイは何とか平静を保てている。

自分の家だというのに、他人の家に上がったような気分だった。


翔子の隣にいる男は、この間ここにいた男と違い、翔子に宇都宮を紹介した者ではなかった。

メイが内心、翔子は付き合う相手を変えたのだろうか?と、冷静に考えていると、大成が翔子を見て言った。

「今日は、あなたに大切なお話があります。

そちらの方には席を外してもらいたいのですが……」

翔子はつまらなさそうな表情で男を外に出し、大成達と向き合った。

「話って、何です?」

翔子の口調から、大成達の相手を嫌々しているというのが伝わってくる。

良くも悪くも変わりない母親の姿に、メイは小さくため息をついた。

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