しゃぼん玉

その夜も、メイは星崎家に泊まった。

まだ養子縁組していないが、ミズキ達はもう、メイのことを家族だと思っている。

大成はメイのために有給休暇を取り、養子縁組の日まではこちらにいる予定だ。


清の通夜の日以来、メイは星崎家で過ごしていた。


メグルは、清が亡くなった後もメイと一緒に住みたいと言っていたけれど、ミズキに養子の話を聞くと、

「メイがそうしたいのなら、それが一番いいよね!」

と、笑っていた。


メイは星崎家で自分専用の部屋を与えられたのだが、今までそういった一人部屋を持ったことがなく、また、一人で眠るのが怖かったので、その日の夜もミズキの部屋の扉をノックした。


パソコンで料理のレシピを検索していたミズキは、ノックの音で手を止める。

「メイちゃん?

入っていいよ」

「……」

メイは、大成に買ってもらった枕を抱きしめながら出入口に立っていた。

ミズキはそんなメイに近付きその肩を優しく押すと、彼女をベッドに座らせる。

心細げなメイの瞳。

「今日も、ここで寝ていいよ」

一人で眠れない。

そう言い出せないメイの気持ちを察し、ミズキは彼女をベッドに横たわらせた。


ミズキに毛布をかけてもらうと、メイは安心したようにまぶたを閉じる。


メイが寝息を立てはじめた頃。

ミズキは部屋の電気を消して、メイが寝ているベッドに入った。

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